土地区画整理地における相続時精算課税制度の活用

船井財産コンサルタンツ 萬代 猛


土地区画整理地を贈与する場合の留意点とは?

相続時精算課税制度の活用の1つに、将来価値上昇する財産の贈与があります。これは、相続時精算課税制度による贈与の場合、贈与時の時価で、相続財産に持ち戻して、加算され計算されるためですが、この特徴を活かし、土地区画整理地の贈与の検討が考えられます。
まず、土地区画整理地の特徴を以下に確認しておきます。

① 道路や公園の整備により、良好な環境となる。
② 従前の土地が不整形地でも、換地後は整形地となる。
③ 道路・公園や保留地(売却して事業費の一部に充てるための土地)への提供のため、減歩がある。そのため、従前の土地より換地は面積が小さくなる。

以上の正負要因があるものの、土地区画整理事業が完了した後には、一般的に換地後の資産価値は上昇し、同時に相続評価も上昇する事が予想されます。この様なケースにおいては、相続時精算課税制度の特徴を活かし、親から子へ贈与することが非常に有効となります。
ここで、注意すべきは、贈与を実行するタイミングです。つまり、従前の土地評価がされる時点で贈与する必要があり、原則は仮換地指定前に贈与を行います。ただし、仮換地指定後であっても、仮換地の使用収益ができない等、一定の要件を満たす場合においては、従前の土地評価となります。
一方で、土地区画整理事業は完了するまで、相当の時間を要するため、十分に外的要因の変化を予測したうえで、適切な時期に贈与を実行する必要があります。バブル期以前においては、土地区画整理が行われると、資産価値の上昇が固い時代もありました。しかし近年、全国的に地価は年々下落傾向にあり、土地区画整理が行われても、資産価値が必ず上昇するわけではありません。これは、2005年からすでに日本は人口減少時代へ入っており、かつ世界で類を見ない程、急速に高齢化が進んでいることが大きな要因です。

今後はあくまでも、個々の要因に合わせて、この制度の活用を検討する事が大切です。たとえば、土地区画整理事業と同時に、市街化調整区域から市街化区域に編入される場合や、市街化区域内であっても、住居地域から商業地域へ変更される場合等は、今後も資産価値の上昇が期待できます。
いずれにしても、減歩率や不整形地の土地評価等、区画整理事業ごとに換地の条件は異なるため、土地の知識を有する専門家の助言を受けながら、実行を検討すべきです。

区画整理前と整理後の土地

区画整理前と整理後の地価

(株)ロータス21・週刊「T&Amaster」340号掲載


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