取締役・個人財産コンサルティング第二事業部長 八木優幸
時代の変化と未来のリスクを知る
戦後、日本の人口は、1.5倍に増加して参りましたが、平成17年上期から「人口減少」に転じ、日本の社会的構造に大きな変化が生じました。今後、相続対策を行う上でも、まず人口減少リスクを考えた対策が必要になってくるでしょう。
日本の個人資産家の多くは、不動産が資産全体の70~80%を占めており、しかも、一ヶ所の地域に集中しております。つまり、資産価値はその特定の地域の不動産市場の動向により大きく左右されてしまう構造になっております。偏りすぎた資産構成は資産変動リスクが高くなります。今後目指すべき資産構成は、欧米のような、不動産40%、現金・有価証券25%、保険・美術品・貴金属等35%の資産3分割法に倣った資産構成に構築することではないかと考えます。
今後の相続対策の考え方
人口減少は不動産賃貸経営に大きく影響します。今後、特に郊外は人口減少が深刻化してくるでしょう。郊外の個人資産家は、相続対策のために無理をして所有地で賃貸住宅を建てるのではなく、所有地を都心の収益物件に組み替える、または、都心の土地に組み替えて、そこで賃貸住宅を建てる方がよほど安全で、安定収益も上げられます。このように、稼ぐ資産は都心に持ち、守る資産は地元に持つという新しい発想が必要になってきます。

最後に、相続対策で我々が行き着いた結論は「収入を増やす」ことが資産を残すための最善の方策であるということです。全資産総額に対して収入が10%のレベルまで達すると、20~30年に起こる世代交代による相続税を、貯蓄により納税可能なサイクルができあがります。

つまり、今の資産を失わずに子々孫々と受け継ぐことができるのです。このように、日本はこれから本格的に人口減少の時代が到来し、今後の相続対策は益々難しくなるでしょう。これからの時代、資産家は如何に良いパートナーを選ぶかがまず相続対策の第一歩かもしれません。
(株)ロータス21・週刊「T&Amaster」328号掲載



