事業承継グループ コンサルタント 荒牧岳宏
債務者の状況と背景
本事例は過剰債務に陥っていたA氏と父B氏が不動産の売却により債務を整理するスキームです。過剰債務に陥った原因は①相続が短期間に続けて発生し多額の相続税を延納にしたこと。②借入で変額保険に加入したこと。③収益建物の建築時に、過大な建築コストを借入したこと等です。この時点で税金の滞納で担保提供していた不動産が差押さえられたため任意売却し、金融機関Cの債務が期限の利益を喪失したため一括返済を迫られている状態でした。

課題と対策の実行結果
①A氏の所有する不動産を全て売却してもC銀行の借入は返済できないがA氏は立場上自己破産したくない。②A氏B氏とも所有する不動産を売却するにあたり問題点がある(自宅は間口が狭く開発許可が取得できない。店舗用地は賃貸借契約の中途解約が必要で賃料も低廉)。
以上のことから、A氏所有の不動産をすべて売却し、残債務はB氏所有の不動産の一部を売却する(保証債務を履行する)こととしました。そのためには売却困難な不動産を売却可能な状態にする必要がありました。
対策の実行結果は以下のとおりです。
(1)ご自宅は広大な土地でしたが、間口が狭く開発の許可が取得できないため、隣接地と交渉して土地の一部を等価交換することによって有利な条件で売却できました。

(2)B氏所有の不動産を一部売却し、A氏のC銀行借入を完済し、遅延損害金は全額免除としました。また、B氏はD銀行の変額保険の借入を完済しD銀行にとって要管理債権であったB氏は正常債権先となりました。
(3)A氏は顧問税理士と相談し、資力喪失状態のため譲渡税非課税にて申告されました。また、B氏は譲渡税の一部を保証債務の履行による譲渡税の非課税にて申告を検討されています(いずれの申告も一定の要件を満たす必要があり、税務署の見解にもよるので慎重な検討が必要です)。
(株)ロータス21・週刊「T&Amaster」324号掲載



