法人財務コンサルティング事業部チームリーダー 茶谷英二
本事例の背景と再生計画の概要
上本事例は、由緒ある老舗旅館(以下、A社)で相応の稼動率は確保しているものの、過去借入による過大投資が、B/Sの悪化とCFの低下を招いたケースです。一方、周辺旅館は次々と大手資本の手に渡り、リニューアルをしたうえ価格のダンピング競争に発展、A社は窮地に追い込まれていきました。しかし一定のCFと景観に恵まれた好立地は再生の可能性ありと判断、有利子負債の圧縮による財務リストラで債務超過の早期解消を目指しました(表参照)。
| ①案件検討と 事業計画の策定 |
|
| ②地元支援と ガバナンスの強化 |
|
| ③株主責任、 経営責任の明確化 |
|
| ④特別清算における 債権償却 |
|
計画の骨子と論点の整理は以下のとおり。
(1)A社の事業継続の断念は地域経済に与える影響が多大であると判断。
(2)風評リスク回避の為、法的整理ではなく私的整理による手続きにこだわった。
(3)温泉権や許認可手続の承継が簡便、固定資産の所有権移転コストの軽減が可能な第二会社方式による会社分割スキームを選択。
(4)再生支援協議会が再建計画の合理性、妥当性を公平な立場から検証し透明性を確保。
(5)金融債権者が要求した①新会社は地元スポンサーから出資を仰ぎ、新代表取締役も外部から招聘すること、②旅館事業のオペレーションは専門家を登用すること、③新会社のガバナンスを強化することの3点の厳しい要求を充足。

対 応 策
■ 負債圧縮額は、実際の収益力から適正な償還年数以内で、
経済的合理性の説明がつきました。
■ 地元会計事務所による出資と代表者の派遣は、
地域経済救済の観点からも説得力がありました。
■ 「経営協議会」の定期的な開催は、コーポレートガバナンスの強化となり、
金融債権者からも評価を得られました。
(株)ロータス21・週刊「T&Amaster」321号掲載



