株式会社プロジェスト 税理士 多和田大紀
不動産の譲渡や合併等で特別利害関係者間の取引を解消
上場会社の中にはオーナーのいわゆる財産保全会社が大株主となっているケースがよくあります。そのなかには上場会社と財産保全会社との間で不動産賃貸借等の取引関係があるケースがありますが、このようなオーナーのプライベートカンパニーとの取引は、取引の不透明性等の観点から問題視されることもあり、取引の解消を図りたいという一定のニーズがあります(以下、下図の事例を前提として説明します)。

このような特別利害関係者間の取引を解消する方法として、主に①財産保全会社A社から上場会社B社への不動産の譲渡、②財産保全会社A社と上場会社B社との合併等の組織再編行為(本稿では合併のみ解説)が考えられます。
①の不動産の譲渡は最もシンプルなスキームといえますが、不動産に含み益がある場合には、譲渡益に対して法人税が課税されるというデメリットがあります。
一方、②の合併については、税務上の適格合併に該当する場合には帳簿価額での移転が可能となり、譲渡益に対する課税が生じませんので課税上は大きなメリットがあるといえます。また、合併の場合には通常の譲渡と比べて、不動産取得税が非課税となることや、登録免許税が軽減されるなどのメリットもあります。
適格合併には一定の要件が必要
なお、本事例の合併は、Ⅰ.合併対価として株式以外の資産が交付されないこと、Ⅱ.50%超100%未満の資本関係の存在・継続、Ⅲ.従業者の80%以上の引継ぎ、Ⅳ.消滅会社(財産保全会社A社)の主要事業(不動産賃貸業)の継続の4つの要件を満たす場合には適格合併に該当します(Ⅳ.については、上場会社B社への賃貸部分は合併により消滅しますが、第三者への賃貸事業は継続されているため、主要事業は継続していると考えられます)。
最後に、本事例のように上場会社が合併を行う場合には、適時開示(吸収合併の決定、主要株主の異動)や臨時報告書(吸収合併の決定、主要株主の異動)・大量保有報告書(変更報告書)の提出が必要となる場合がありますので注意が必要です。

(株)ロータス21・週刊「T&Amaster」317号掲載



