不動産投資におけるデュー・ディリジェンスの必要性

船井財産コンサルタンツ 不動産事業部グループ長 東川 亨


個人が不動産を取得する際にデュー・ディリジェンスが一般化しない理由とは?

不動産を取得する際には、「デュー・ディリジェンス」といわれる詳細な調査を行うことがあります。
デュー・ディリジェンスとは直訳をすれば「当然になされる注意義務」であり、元々は欧米の金融業界で使われていた言葉ですが、現在では不動産においても投資家(購入者)が投資判断(購入判断)を行うのに必要な調査全般を指すようになり、日本でも投資ファンドや不動産会社といったプロが不動産を取得する際には必須条件となっています。しかし、個人あるいは企業オーナーの資産管理会社が買主となる取引においてはいまだ一般的であるとはいえない状況です。
なぜ個人が不動産を取得する際にデュー・ディリジェンスが一般化しないのでしょうか。それは以下の3点の理由が大きいと考えられます。
① 対外的な説明義務が無いこと
法人が不動産を取得する場合、物件が正当なものであるか、取引価格が妥当であるかを株主や出資者に対して客観的なデータを基に説明しなければなりませんが、個人の場合当事者である本人の意思のみで判断できるため。
② 売主に瑕疵担保責任を負わせることが可能であること
個人が不動産業者から取得する際には、一定期間内であれば瑕疵が発見された場合、売主に瑕疵担保責任を負わせ買主の負担を軽減することができるため。
③ 価格に占める土地の割合が相対的に高いこと
将来のキャピタルゲインで多少の損失はカバーできると考えられていたため。

個人も不動産の投資を行う際に詳細な事前調査が必要

しかし、経済環境が大きく変化し、キャピタルゲインよりもインカムゲイン(運用期間中の収益)が重視されるようになり、収益を生み出す建物が法的・経済的に最有効活用されているかを見極める必要が高まっています。また、大手企業でも破綻する現在の経済情勢、収益不動産の売主がそもそも永続的な存続を前提としない不動産ファンド(SPC)である物件が増えていることなどを考え合わせると、瑕疵担保責任を訴求する相手が存在しなくなる可能性もあります。
突然大きく収益が毀損するリスクを最小限に留めるためにも、個人においても不動産の投資を行う際には詳細な事前調査を行う必要性は高まっています。
当然、調査にはコストが必要です。必要諸経費にデュー・ディリジェンス費用も含めた投資計画の作成と事前の専門家への相談をお勧めします。


(株)ロータス21・週刊「T&Amaster」349号掲載


お問い合わせ・ご相談はこちら
前のページへ戻る

ページTOPへ戻る